国会改革の必要性。「国会のスリム化、スピード化、サービス向上『3S』」を語る

【共同ウィークリー】2010年1月1日号に掲載

与党・民主党が採決を強行し、反発した野党・自民党は審議拒否-。昨年の臨時国会は、政権交代に伴って与野党の立場が入れ替わっただけで、与野党の旧態依然たる駆け引きに終始した。1月召集の通常国会では、政権交代にふさわしい運営が可能となるのか。衛藤征士郎衆議院副議長に国会改革と通常国会の見通しを聞いた。

定例日の弾力化必要

<臨時国会の運営について、自民党が「鳩山由紀夫首相の偽装献金問題を長引かせたくないため、ただ法案をさばければいいという状態になった」と批判したのに対し、民主党は「ゆっくり審議できる国会運営をしたい」と、半ば反省の弁。衛藤氏は「国会も常に改革していかなければならない」と強調する>

― 昨年の臨時国会を副議長としてどう見ていますか。

「民主党なでの与党3党による強引な採決もあり、政権交代後の本格的な論戦の場として、国民の期待に応えたとは言いがたい。遺憾だ。もっと早く国会を開いて審議時間を確保しなければいけなかった。12月には税制改正や予算案編成の作業があることは分かっていたはず。政府、与党の考えがあったのだろうが、野党の早期召集に応じるべきだった。」

― 徹底審査の方策は。

「予算の議決と条約の承認に関しては衆院が参院より優先するが、それ以外は参院も衆院と同じ権限を持っている。法案などの審議は必ずしも衆院から始めなくてもいい。予算編成でも事業仕分けのように、与党は国会でも、法案を衆院先議と参院先議さらに徹底仕分けしてはどうか。そうすれば、『参院での審議時間が足りない』といった事態は回避できる」
「国の間からは『国会はまじめに審議しをしているのか』との声が漏れている。議員は週休2日を返上、土曜日も審議をしていい。現在、1週間に2,3日程度の定例の日に本会議や委員会が開かれているが、定例日を弾力的に増やしたり、夕刻以降も審議を続行したり、改めるべきだ。そうすれば十分な時間が確保できる」

与党だけの官僚にあらず

<民主党は小沢一郎幹事長主導で国会改革法案をまとめた。内容は 1)政府参考人制度の廃止 2)政府特別補佐人から内閣法制局長官を除外 3)政治家同士の審議とは別に官僚や有識者からの意見聴取会を新設 4)審議前日正午までの質問概要の通告 5)副大臣、政務官の増員―から成る>

― 民主党国会改革案の評価は。

「官僚は特定政党のためだけに存在しているわけではない。税金で官僚の給料を支払っている。国民や国民の代表である議員には官僚と接触したり、問いただしたりする権利がある。言論の府では常に最高の答弁が求められる。三権分立の観点からも法制局長官や官僚に答弁させることは当然だ。意見聴取会を新設して官僚と議員と切り分けるというが、審議の質の低下につながり、理解できない。」

「副大臣と政務官の数を100人に増やそうが、150人にしても、政治指導や的確な答弁につながるかどうかは疑問だ。昨年の臨時国会で政府、与党は極力、官僚に依存しないで答弁していた。各常任委員長の采配で政治家が答弁するようにすればいいだけで、法改正は必要ない。いずれにしても各党会派で構成する議会制度協議会で議論しなければいけないが、自民党は反対だと聞いている」

党首討論必ず週1回開催に

<政権交代後の党首討論はいまだ開かれないまま。2000年2月の与野党申し合わせで、党首討論は「国会開会中、週1回40分間、水曜日午後3時から開会する」とする一方「ただし、首相が衆院または参院の本会議、予算委員会もしくは重要議案審査の委員会に出席する週には、開会しない」と、決めたためだ>

― 党首討論の場である国家基本政策委員会の委員長経験者として、改革点は。

「与野党が『党首討論は必ず週1回行う』と申し合わせればいい。これも法改正は要らない。小政党にも党首討論は参加する道を開くべきだ。そうなると、現在の40分間では短い。2時間ぐらい確保しないといけない。通常国会からでも党首討論の在り方は改革できる。鳩山首相は自ら献金問題について堂々と述べればいい」

「国会でも常に改革していかなればならない。ポイントは、スリム化、スピード化、サービス向上の『3S』だ。722人の衆参両院議員の現在の二院制から500人の一院制にすれば3Sは実現できる。衆参いずれかの廃止ではなく衆参対等統合による一院制、都道府県単位の大選挙区制で2人連記制がいい。副議長の立場で提案したい」

春先解散の可能性も

<民主党は通常国会召集時期について「1月22日ごろ」(山岡賢二国対委員長)を想定している。自民党は鳩山首相の偽装献金問題のほか、鳩山政権がガソリン税なでの暫定税率の現行水準維持を決めたことに関して「公約とは全く異なると多くの国民が疑問に思っている」(石破茂政調会長)と追求する考えだ>

― 通常国会ではどのような展開が想定されますか。

「2010年度予算案は民主党マニフェスト(政権公約)を実現するための手段。予算案審議を通して、暫定税率、国際発行、“埋蔵金”といった財源と民主党マニフェストの修正の問題が議論の俎上に上ることになるのではないか。予算案とマニフェストとの矛盾点を追求され、意外と早い時期に国民に信を問うという可能性も否定できない」

― 休眠状態だった憲法審査会は。

「07年に成立した憲法改正手続きを定めた国民投票法がいよいよ今年5月18日から施行される。憲政史上、国会にとって大きな出発点となる。法の施行で憲法改正原案が発議できるようになるので、改正原案を審議する憲法審査会も動かさなければならない。衆参両院議長と共に努力する」