「日本経済新聞」記事~宙に浮く憲法改正原案【2012年5月26日】

【日本経済新聞】2012年5月26日に掲載

衆院副議長として自民党会派を離脱中の衛藤征士郎氏は17日、衆院第1議員会館の自室に民主党の有力議員を呼び集めた。玄葉光一郎外相と松原仁消費者担当相の2閣僚のほか、鳩山由紀夫元首相や原口一博元総務相ら9氏が顔をそろえた。衆参両院を統合して「一院制」への移行を目指す議員連盟のメンバーだ。

 超党派の議連は10年越しの運動を経て、2017年から国会を定数500人以内の一院制に移行するとの「憲法改正原案」をまとめた。議連会長の衛藤氏は会合で「まずは衆院で通す。そうすれば世論が放っておかない」と力説。だが現状では制度改正は「夢のまた夢」という雰囲気だ。

 一院制を実現するには衆参両院の定数の3分の2以上の賛成で憲法改正を発議し、国民投票で過半数を得る高いハードルを越えなければならない。

 衛藤氏らは4月27日、国会内で横路孝弘衆院議長と向き合った。史上初となる「改憲原案」について、議長は「議員立法は所属会派の承認が必要になっている」として受理を保留。議連側は、「改憲原案の提出は初めて。法案ではないので慣例は存在しないはずだ」と食い下がったが、議長は「扱いは議院運営委員会で協議する。みなさんも政党の承認を得られるよう努力してほしい」と押し返した。

 衆院の賛同者は改憲原案の提出に必要な100人を超える約135人に上る。それでも審議入りはままならず、可決に必要な320人の確保はさらに道が険しい。議連関係者は「民主党は参院議員の輿石幹事長に配慮し及び腰の議員が目立つ」と指摘する。

 自民党も4月に自衛権や国防軍を明記した改憲案をまとめる過程で、衆院側から一院制を求める声が相次いだ。だが参院側は強く反発。溝手顕正参院幹事長は議連の改憲原案について「自民党は二院制で決着したはずだ」と不快感をあらわにしている。

 「大阪維新の会が国政に進出してくれば、一院制の支持勢力はもっと増える」。衛藤氏は周囲にこう漏らす。「決められない国会」の一因でもある衆参の逆転現象。各党は制度的な問題の改革案すら決めようとしない。

2012年05月26日経記事