日経新聞 大機小機:「政治改革」【2012年10月10日】

【日本経済新聞朝刊】2012年10月10日に掲載

国内外の情勢がめまぐるしく変化し、これまでになくあらゆる政策課題に機動的に対処することが強く求められている今、日本の統治機構を抜本的に改革することが急がれる。参院で野党が多数を占めるねじれ国会で法案審議が停滞する中、一院制の導入を目指す動きも出ている。

 2003年以来活動を続けている超党派の議員連盟は、衆議院と参議院を対等に統合した新国会(両院を廃止して新たな一院制へ)を発足させるべしと決議した。今年4月には一院制の導入、国会議員の定数500人以内を骨子とする憲法42条改正原案を、衆議院議長に提出している。

 政治の停滞によって国民が背負うコストが増大していることは明らかだ。台湾は4年前、立法委員(国会議員)を225人から113人に、一気に半減させた。仮に我が国が一院制500人になれば、①ねじれ現象解消と予算遅滞解消②国会の本務である十分な政策討議の復活③議席数の3割減が地方を含めた行財政改革の強い引き金になる――などが予想される。

 国際連合加盟国193か国の約6割が一院制だ。二院制の国でも中心が下院であることが多い。米上院は100議席と少数。フランスでは下院は直接選挙だが、上院議員は下院議員、地方議員らによる間接選挙となっている。両院一不一致の場合は両院協議会を招集するか下院に決定権を委ねるか、政府がイニシアチブを持つ。

 連邦制国家の独では連邦議会は直接選挙で議員を選ぶが、参院は各州の首相や閣僚らで構成しており参院議員という特別な呼称はない。議席数は69にとどまる。参院の意志が必要な同意法律(州の利害にかかわるものが中心)と連邦議会の議決に参院が異議を申し立てる異議法律があり、同意法律は参院で否決されれば不成立。だが異議法律は、参院で異議申し立てされても連邦議会の多数決で覆る。

 敗戦後の日本は、1960年まで、55年の自民党の誕生を挟んで「政治改革」の15年を経験した。その後は経済の15年、文化の15年、混乱の15年を経て2005年以降、再び政治改革の15年に入っている。20年までに選び抜かれた政治家らが政策を軸にした政治を展開しる、新時代にふさわしい国会の体制に移行していることを期待したい。

2012年10月10日 日本経済新聞朝刊 大機小機 「政治改革」