日本が確かな針路を辿るための、3つの柱を掲げたいーCPA稲門会会報に寄稿しました(6/17)

 震災による惨禍は痛恨の極みです。一瞬にして奪われた多くの命の無念、被災された方々の余りに深い苦しみは筆舌に尽くしがたく、心よりお見舞い申し上げます。

 


 地震大国日本にあって、我々は然るべき国策を為して来たのか。私は衆議院副議長として、二度にわたり被災地に入り惨状を目の当たりにし、国政の責務に自省の念を深く致しました。国会は万事先鋒に立って「新生東日本」構築を果たさねばなりません。第二次世界大戦から既に65年が経過し、日本が敗戦後の復興を完遂していた今、改めて東日本大震災の災後元年の厳しい道のりを強いられました。この未曾有の国難をも日本は必ずや乗り越えると確信し、決然と歩みだそうではありませんか。

 

日本が確かな針路を辿るための、3つの柱を掲げたいと思います。

 

 第一に、国権の最高機関たる国会が機能するためには、国会の大改革が急務である。衆議院と参議院の両院を対等に統合して一院制の国会とし、議員定数は3割削減し500人以内とすることを、私は主張し続けてきた。昨年(2010年)12月には「超党派衆参対等統合一院制議員連盟」(衆議院参議院両院より120名参加)を発足した。私はその会長に就任し、積極的に活動している。

第二に、国と地方の財政再建。特に年金、医療、福祉、介護などの社会保障制度の拡充のための恒久財源の確保が急務である。そのための財源は消費税を充当し消費税率は世界水準の15%を参考にする。しかし、当面は0%、5%、10%の3段階の軽減税率を導入する。又、東日本復旧・復興の為の財源は時限立法による「特定かつ限定の税源確保」の為の特別措置法に依拠することを基本とする。

第三に、島国日本が国際競争に勝ち残るための経済基盤を早急に確立する。日本の270万社を超える民間企業の活力と成長を押し上げるために法人税の実効税率(現行40.69%)は世界標準の26%以下を目指す。この10年間の世界各国の法人税率の動向は世界平均で約7%減少しOECD(経済協力開発機構)加盟国では約9%、EU(欧州連合)加盟国では約11%減少している。それに対しては我が国では、この10年間法人税の実効税率は約41%のままで全く変動がない。

 

 

 世界の趨勢は一院制の国会が2/3で、二院制の国会は1/3である。 日本のように衆参両院に同等の権限と権能を与えている完全二院制は稀である。世界各国は名目上二院制、実質一院制を採用している。EU(欧州連合)加盟の27カ国は1/2が一院制、残りの半分が二院制を採用しているが、2000年から2009年までの10年間、EUの実質経済成長率の平均が、一院制の国では約4%、二院制の国では約3%となっていることは極めて興味深い。

 

 我が国で二院制の国会を一院制の国会に移行するには憲法第42条の改正が必要である。戦後65年にして昨年初めて我が国も憲法を改正する手続きの法律が施行された。平成19年5月18日に成立した「憲法改正手続法」と「国民投票法」である。これら2法は3年間の据え置き期間(経過措置)を経て、昨年平成22年5月18日から施行された。 

 戦後65年間で世界の国々は積極的に憲法改正に取り組んできた。この間アメリカは6回憲法改正をした。フランスは23回、敗戦国ドイツは57回も憲法を改正している。スイスは10回、カナダは18回、隣国韓国は9回、中国も9回憲法を改正している。

超党派衆参対等統合一院制議員連盟は憲法改正手続きに法り、着実に憲法第42条の改正に取り組んで行く。島国日本、資源小国日本が国際競争に勝ち残る為には、スピードと効率に優れた一院制の国会が必須である。

 

 日本の国会は、衆議院と参議院の二院制でスピードは遅く極めてコスト高となっている。更に衆参両院の「ねじれ現象」は国政に著しい不安定と不確実性をもたらし、ひいては地方政治、行政にも混乱を引き起こしている。かつての米ソ冷戦構造下の世界二極化時代は終わった。激動の世界多極化に即応すべく、変革された新しい国会の確立を急がなければならない。

 スウェーデンの国会はスピードと効率の高い一院制の国会である。さて、国の意思決定過程において日本とスウェーデンの差異は何が考えられるか。

 持続的な経済成長には内需と外需の持続的拡大と成長が必要である。高福祉高負担の国スウェーデンは2000年から2008年の間、平均の実質経済成長率は2.8%であった。一方、中位福祉中位負担の日本はこの間、平均1.4%の成長率であった。

 

 現在日本には75歳以上の高齢者が1,400万人、そのうち80歳以上の高齢者が780万人いるが、2025年には75歳以上の人口が2,200万人を超える。 スウェーデンの現在の総人口は925万人、デンマークの総人口は500万人であるから、日本がいかに高齢者大国であるか歴然としている。高齢者の方々が老後に安心して暮らせ、個人の消費にゆとりが持てるようにすることが肝要である。

 高齢者の増加に反比例してGDPに占める個人消費の割合がどんどん低下して行くようなデフレ経済・社会・国家にしてはならない。 将来の「高齢者長寿大国日本」を「高齢者デフレ小国日本」に転落させない為に、政治は今、何を成すべきかが問われている。

 

 老後の生活に不安を感じる大多数の国民は医療、年金、介護の諸制度が不十分であるから、自らの蓄えを備えとしている。医療、年金、介護の充実のために埋蔵金のような一時しのぎの財源を充てるのではなく、福祉先進国のように恒久財源である消費税を充当すべきである。勿論、消費税の増税の前に国会議員の3割削減並びに国と地方の公務員の大幅な削減など、国と地方のコストの徹底的な見直しの工程表を国民に提示し、十分な理解と協力を得る必要がある。 

 

 高齢者福祉充実のための財源とする消費税の税率は、世界平均で約15%、欧州では約20%であり、北欧の福祉先進国では約25%である。日本は消費税の国際水準を見据えて、英、仏、独、スウェーデンのように数段階の税率(軽減税率)を導入すべきである。 

 2010年度、国の予算で後期高齢者医療費4.6兆円、基礎年金比9.9兆円、介護費2.1兆円、合計16.6兆円が措置された。現行の消費税収(税率5%、約12兆円)の配分は国に56%、地方に44%となっている。国に配分される6.8兆円の消費税額のみでは、基礎年金、後期高齢者医療費、介護の費用分の16.6兆円に対して9.8兆円も不足する。この9.8円兆円を現行の消費税収配分に基づき消費税により充当するには、7.2%税率を増加する必要がある。つまり、現行税率5%プラス7.2%の12.2%の消費税率でなければ基礎年金、後期高齢者医療、介護の諸費用さえも賄えない。                            仮に消費税収すべてを国に配分した場合でも消費税率はあと4.1%上げなければならない。

 

 この10年間、国の社会保障予算の合計は約210兆円、平成23年度は前年度比5.3%増の約28.7兆円である。予算が最優先で措置される年金、医療、介護、福祉等は消費税や国の借金での補充、さらに公共事業の大幅な縮減などによって守られてきた。しかし借金も限界に近い。国と地方の借金は862兆円ある。平成22年度、国は44兆円の借金をした。平成13年から平成22年の10年間の国の借金である国債発行額の合計は約351兆円であり、毎年35兆円の借金をしたことになる。一方、公共事業の削減も限界に来ている。                                                             スウェーデンは消費税率25%であるが国家財政は世界で一番良い。国際競争力は世界で二番目に高い国である。国民の幸福度、満足度は世界でトップクラスに在る。

 

 今こそ、「中位の負担による中位の福祉」の明確な社会保障制度と福祉国家像を国民に明示すべきだ。特に社会保障制度充実のために必要不可欠である「明確な財源」の根拠を明らかにすることが肝要である。私はその財源として消費税を充当すべきと思う。そして消費税率は3段階にする。特に生活必需品は0%、そして5%と10%である。

 

 世界の国々は1999年から2009年の間、消費税率(間接税率)は徐々に高くした反面、法人税率は徐々に低くして来た。この10年間で法人税の実効税率は世界平均で32.69%→25.51%と約7%減少、OECD加盟国平均で、35.00%→26.30%と約9%減少、EU加盟国平均で34.12%→23.22%と約11%減少した。一方日本では、40.87%→40.69%でほぼ変動なし。世界の国々は、7%、9%、11%と確実に法人税率を引き下げて国際競争力を着実に強化させた。日本の270万社を超える民間企業の活力と成長を後押しする為に法人税の実効税率を速やかに世界平均の26%以下にして、次には世界最低の「国家戦略法人税率」にすべきである。

 

 

 2011年(平成23年)、今、我が国の歴史的危機に立ち国政の責務はかつてないほど重大であり、一刻の遅滞も許されない。皆様方の厳しいご指導を賜らんことをお願い申し上げます。